「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
月明かりに照らされたカイル殿下の横顔は、どこか影をまとって見えた。

私はベッドの上で身を起こそうとするが、それより早くカイルが傍に来て、そっと私を抱き寄せた。

「君に伝えたいことがあるんだ。」

その声音には、いつもの軽やかさはなかった。

私は黙ってうなずいた。

抱きしめられたまま、彼の胸に耳をあてる。

穏やかな鼓動の中に、不安が混じっている気がした。

「穢土が広がっている。どうやら、国の東部だけじゃない。……近いうちに、聖女ティアナと共に、浄化の旅に出ることになるかもしれない」

「旅……⁉」

その言葉が、胸に鋭く刺さった。

旅だなんて──ずっと、ティアナと一緒に?あの美しい聖女と、四六時中を共に?

胸の奥が焼けるように熱くなって、言葉が出なかった。

「もちろん、すぐじゃない。まだ詳しい命令が出たわけじゃないけど……備えておく必要がある」

「……そう、ですか。」
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