「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
自分の声が他人のもののように遠く感じた。

動揺を隠せず、視線を逸らす私に、カイルが気づかぬはずもなかった。

「セレナ──」

名前を呼ばれただけで、涙が出そうになる。

「……嫌です。」

絞り出したその一言は、あまりにもわがままで子供じみていたかもしれない。でも、今はもう抑えられなかった。

「寂しいのは分かる。でも、なるべく手紙を書くから。」

そう言ってカイルが頭を撫でる。けれど、私は首を横に振った。

「寂しいんじゃないんです……」

私は、カイルの胸にすがるように抱きついた。

「……あの人と、一緒にいてほしくないんです。」

それはわがままだ。分かってる。

彼が国のために動いていることも、聖女ティアナが尊い存在であることも。

けれど、どうしても胸がざわつく。この気持ちは止められなかった。

「……あの人を、好きにならないで。」
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