「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
カイルの囁きは、まるで呪文のように心を溶かしていく。

ボタンを一つ外されるたびに、私は羞恥と歓びが入り混じる鼓動を感じていた。

「カイル……わたし……」

言葉にならない想いが、喉に詰まった。

「何も言わなくていい。俺を、感じてくれればいい」

そう言ってカイルは、私の耳元に口づけを落とした。

その夜──私は、ただ一人の男に、心も体も包まれていった。

朝の光が、薄いカーテン越しに差し込んでくる。

その柔らかな光の中で、私は隣に眠るカイルを見つめていた。

寝息は静かで、眉間の皺もなく、どこか無防備で穏やかだった。

――この人が、私の婚約者。

国のために剣を取り、聖女を護り、皇太子になるかもしれない。

そんな重責を背負うカイルが、こうして私の隣で眠っている。それが、信じられないほど幸福だった。

そっと、彼の頬に指を伸ばす。優しく撫でると――その瞬間、腕を掴まれた。
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