「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
そこに立っていたのは──
漆黒の礼服に身を包んだ、見間違えるはずのない人。

「……カイル殿下……?」

月明かりの下で、彼の瞳がまっすぐに私を射抜いていた。

「やっぱり、セレナだと思った。」

そう言って、カイル殿下は私の隣の椅子に腰を下ろした。

まるで昔と変わらない自然な仕草に、私は思わず息を呑む。

カイル・ヴェルナーグ殿下。

この国の第2皇子。

鍛え抜かれた剣の腕前は王国でも随一と評され、しかもその端正な顔立ちは、社交界の令嬢たちの憧れの的。

人気ぶりはユリウス様にも劣らない──それどころか、“本物の王子様”として見られている分、もしかするとそれ以上かもしれない。

そんな彼が、なぜ今、私の隣に?

思わず視線をそらすと、彼はくすっと笑った。

「なんだよ、その顔。俺のこと、忘れた?」

「……忘れるわけ、ありません。」

私は小さく首を振った。
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