「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「カイル、甘えてもいい?」

夕陽の残照が差し込む書斎の中で、私はそっとカイルの手を握った。

すると彼は、何も言わずに私を優しく抱きしめてくれる。

「いいよ。君の弱いところも、全部見せてくれ。俺が守るよ。」

その言葉は、ふわりと私の心を撫でるように優しくて──思わず目を閉じた。

「……俺を頼って欲しい。俺は、君の夫になる人なのだから。」

頬にそっと落ちてきたキスが、あたたかくて、やさしくて。

私は、このぬくもりを永遠に放したくないと思った。

だけど、胸の奥に沈んでいた言葉が、どうしても出てきてしまう。

「……周囲は、カイルとティアナ様が結婚すればいいって……そう言うの。」

ふと漏らした声に、カイルの腕の力が少しだけ強くなった。

「噂は、風のように吹き抜けていくものだよ。でも、俺の気持ちは、誰に左右されるものでもない。」

「でも、聖女様は美しくて、気品があって……私なんかより、ずっと……」
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