「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
一瞬の沈黙。

そのあと、殿下の眉がぴくりと動いた。

「……は?」

呆けたような声だった。

あの冷静な殿下が、そんな表情を見せるなんて。

「婚約破棄って……あのユリウスに?」

私は小さく頷いた。

「地味だって。社交界で恥をかかされたって。だから……」

言葉の先は、自分でも空しくて言えなかった。

「……どうりで、舞踏会で誰も声をかけないわけだ。」

ぼそりと呟いた殿下に、私は思わず顔を向ける。

「舞踏会に、いらしてたんですか?」

「君が来るって聞いてね。」

昔と変わらない、少し優しくて、お兄さんのような声音だった。

あの頃、私が庭で転んで泣いた時も。

一人きりで絵本を読んでいた時も。

カイル殿下は、いつも隣にいてくれた。

そのまなざしに、私は少しだけ安心して、ついぽつりと零してしまった。

「……なんだか、全部がバカみたいです。努力しても、結局は“派手な子”に敵わない」

その瞬間、カイル殿下の眼差しが、ふっと変わった気がした。
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