「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「私……嬉しいです。皇子は、あなたのことを深く想っていたのですね。旅の間、何度もセレナ様の話をなさっていました。」

「……そうだったの?」

「ええ。……少し、羨ましくなるほどに。」

一瞬、風の音にまぎれて、彼女の言葉が少しだけ寂しそうに聞こえた。

でもすぐに、ティアナは柔らかく笑った。

「でも、私が信じたいのは、貴女と皇子の“本物の絆”です。それを見られるのなら、私は聖女として、心から祝福できます。」

私は思わず、彼女の手をぎゅっと握り返していた。

「ありがとう、ティアナ様……貴女にそう言ってもらえて、本当に嬉しい。」

ティアナは頷いたあと、小さく息を吐いて、こう付け加えた。

「でも……もし、皇子が泣かせるようなことがあったら、私が叱りますから。」

「ふふ、それは心強いわね。」

その夜、私たちは静かに笑い合った。

この国の未来に寄り添う者として、そして――女同士として。
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