「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
カイルはドレスと礼服を交互に見つめながら、少しだけ遠くを見つめるような目で言った。

「これを着て結婚式を挙げるのは、兄上だと思っていたんだ。子供の頃から、ずっとそう思ってた。兄上が皇太子で、王になるんだって。だから俺は、剣に生きるって……」

そう言って、ふっと笑う。

「まさか、自分がこの礼服に袖を通す日が来るとは、思わなかったよ。」

「カイル……」

私はそっと、彼の手を取った。

「でも、今のカイルは、きっと誰よりもその服が似合うわ。兄上が認めてくれたように。私も、心からそう思う。」

彼の目が、私の言葉を真っ直ぐに受け止める。

「ありがとう。……セレナが、そう言ってくれるなら。」

静かに、私の額にキスを落としたカイル。

その優しさに、心の奥がぽっと温かくなった。

「明日はきっと、いい日になる。君と迎えられるなら、それだけで最高の日だ。」

私は頷いた。

「私も……明日、あなたの隣に立てるのが嬉しい。」

こうして、私たちは明日を想いながら、そっと手を重ね合った。

――それは、約束の夜。
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