「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「お父様。私は……カイル殿下に片膝をつかせた令嬢なのですよ」

その一言に、父は驚いたように私を見つめた。

「セレナ……」

「殿下のご決意。私は、お受けしたいと思っています」

たとえ復讐のための偽りの婚約でも──

私はこの機会を、決して無駄にはしない。

ユリウスに捨てられ、笑われ、見下されたまま終わるなんて、絶対にいや。

私は、私の誇りを、取り戻す。

「……そうか」

父は、しばらく黙ってから、小さく目を閉じた。

その表情にあったのは、怒りでも拒絶でもなく──ほんの少しの、諦めと、父としての祈りだった。

そして、しばらくの後。

私と両親は、王城へと招かれた。

深紅の絨毯が敷かれた謁見の間。

そこには、堂々たる威厳をまとった国王陛下、そしてその傍らには、正装に身を包んだカイル殿下の姿があった。

「よく来てくれた。」
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