「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
復讐のため。ユリウスを見返すため。

──それだけのはずだったのに。

今、目の前で語られる言葉が、私の背にとてつもない重みとなってのしかかる。

「それと──もう一つ、伝えておかねばならぬことがある。」

国王の声音が、さらに低く、厳粛さを帯びた。

「カイルと結婚するということは、単に皇族と縁続きになるというだけではない。それは、将来的に“王妃”となる可能性を意味する。」

「……!」

思わず、口元を手で覆った。

「妃としての責務、立場、そして……王家を背負う覚悟があるかどうか。いずれその問いが、そなたに向けられることになるだろう。」

その瞬間、自分の中にあった“軽い復讐”の炎が、ひどくちっぽけなものに思えた。

これは──
ただの感情では進めない未来。

私は、どこまで覚悟できているのだろうか。

それでも……
カイル殿下のあの手を、もう一度握ることができるのなら──
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