「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「……よかろう。そなたがそこまでの覚悟を持っているのなら、王家の名に恥じぬ妃となるだろう。我が王家に、ふさわしき婚約と認めよう」

その瞬間、カイル殿下がそっと微笑んだ気がして、私は胸の奥が熱くなるのを感じた。

それは、婚約発表から数日後のことだった。

突然、あの人──ユリウス・フェルグレンが私の屋敷を訪ねてきた。

「セレナ! 本当に……本当にカイル殿下と婚約したというのか!」

扉を開けた瞬間に飛び込んできたその声音には、焦りと……明らかな怒りが混じっていた。

──ああ。この顔が、見たかった。

私を見下し、捨てた男の、こんなにも動揺した表情。

「ええ、本当です」

私は微笑すら浮かべながら、静かに答えた。

「ま、まさか……君が……君が王族に……?」

ユリウスは何か信じられないものを見るように私を見つめ、ふらりと歩み寄る。

そして、手を伸ばしてきた。
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