「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「……もういい。」

突然、ユリウス様が手を下ろした。

一瞬、何が起きたのか分からなかった。

「え……?」

「気分が悪い。別の相手と踊る。」

それだけ言い残し、彼は踵を返して、令嬢たちの方へと向かってしまう。

そこに残された私は、まるで置き去りにされた人形のように──ただ立ち尽くしていた。

それは、舞踏会から三日後のことだった。

父の元に、フェルグレン家からの正式な書状が届いた。

その内容を聞いた瞬間、私は信じられなかった。

「……婚約破棄……?」

頭が真っ白になる。

ユリウス様から、そんな話は一度も聞いていない。

あの夜、確かに彼は私の手を振り払ったけれど──でも、まさか本当に……。

私は気づけば、フェルグレン邸に駆け込んでいた。

「ユリウス!」

呼びかけると、彼は面倒そうに顔をしかめ、小さく舌打ちした。

「……なんだよ、来るなよ。空気を読めよ。」
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