「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「……急にそんなこと言われても、困るよね」

カイル殿下は、気まずそうに笑いながら視線を逸らした。

けれど、私が黙ったまま顔を上げると──

その瞳はまっすぐに、再び私を見つめてくれた。

「いいよ。今すぐ返事しろとは言わない。でも、せっかく国王に認めてもらったんだし──結婚は、しようよ」

「……あの……」

それが、どれほど簡単なことではないか。

国王の許可を得たとはいえ、それは私にとって人生そのものの転換で。

感情だけで踏み出せる世界じゃない。

でも、それでも彼は──

「俺さ、兄上と違って、“政略結婚”ってやつができないんだよ。」

「……え?」

「だからさ、また探すのって大変なんだよ。」

カイル殿下は、どこか拗ねたような表情で言った。

「セレナだって、また婚約破棄とか……嫌だろ?だったら、俺に決めてくれてもいいんじゃない?」
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