「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
この国の成り立ちに始まる歴史。

貴族の構造、政治の基盤、王族に求められる倫理観と礼節。

さらに、将来の外交を見据えた隣国の言葉まで。

そのすべてが、妃に“当然”とされる教養だった。

朝から夕方までぎっしり詰まった講義を終え、宮殿の廊下を歩く足も、もう重い。

そんなとき、いつも決まって、カイル殿下が私を迎えてくれる。

「どうだった? 今日の講義は。」

「……もう、疲れました……」

私がぼそりと漏らすと、殿下は楽しそうに肩をすくめた。

「俺も似たようなもんだったよ。歴史、政治、王子としての心得、外国語。それに剣術、文化芸術までセットでついてきたからね。」

「……ふふ、それは……確かに大変そうです。」

「大変だよ。だけど――君が妃になるなら、もう少し頑張ってみようかなって、最近思うようになった」

その言葉に、心の疲れが少しだけほどける。
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