「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
私が背負っているのは、未来の王妃としての重責。

でも、彼もまた王としての宿命を背負っていて。

――だからこそ、私たちは並んで進めるのだと、思えた。

カイル殿下の微笑みが、そんな確信を私の胸にくれた。

週の半ば。

その日も突然、カイル殿下は私の屋敷を訪れた。

「……セレナ」

扉の向こうから、少し切なげに呼ぶ声。

その声音だけで、胸の奥がきゅっと締めつけられる。

この人は、優しい。

私を“仮”ではなく、本当の婚約者として、きちんと扱ってくれている。

「すみません。今日は……父のお客様が応接室を使っていて……」

恐縮しながらそう告げると、奥から現れた客人が、慌てて頭を下げた。

「こ、これは……カイル殿下! し、失礼いたします、すぐに退きますので――」

帰ろうとする客人に、殿下はにこやかに、けれど落ち着いた声で言った。
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