「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
勢いあまってドアにもたれかかったのか、父はバランスを崩し、そのまま倒れ込むように室内に入ってきた。

「お、お父様……!」

私は慌てて立ち上がり、殿下も苦笑しながら父に手を貸した。

父はもそもそと身を起こしながら、顔を真っ赤にして咳ばらいを一つ。

「……ええっと……」

そして、照れ隠しのように私を一瞥し、改まった表情に戻った。

「カイル殿下。一つだけ、忠告したいことがあります」

「……何でしょう」

背筋を伸ばした殿下の問いかけに、父は真剣な顔で私をちらっと見た。

「その……カイル殿下が跡継ぎを必要としているのは分かりますが……」

父の言葉に、私は思わず首を傾げた。

「結婚する前に子作りをされたら、困ります。」

「っ……!」

その瞬間、私の顔は一気に真っ赤になった。

「お、お父様の馬鹿っ!」

思わず叫んでしまった。

「カイル殿下がそんなこと、するわけないじゃない!」
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