「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「し、しかしな……婚約しているからには、その……男として……」

父がもごもごと口を濁しながら言葉を探していると、カイル殿下がすっと立ち上がり、父の前に立った。

その瞳は真剣で、どこまでも真っ直ぐだった。

「……愛し合って、何が悪いのですか?」

父が言葉を失った。

私も息を呑んで、カイル殿下を見上げた。

殿下は視線を私に向け、柔らかく微笑む。

「無理やりではありません。セレナが望むなら……それは、祝福されるべきことだと思っています。」

「カ、カイル殿下……」

私は胸の奥が熱くなるのを感じた。

父も、何も言えずにその場で小さく頷くしかなかった。

「えっ……」

思わず声が漏れる。

それって──私たち、まだ結婚してないのに……いけない関係になるってこと⁉

ぶわっと顔が熱くなるのが分かった。

耳まで真っ赤だと思う。

「か、カイル殿下……っ!」

「ははは。」
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