「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
やがて、大きな樹の下にたどり着く。

ふたりだけの世界。風が、そっと葉を揺らしていた。

「セレナ……」

カイル殿下が私を抱きしめた。

彼の腕の中は広く、ぬくもりに満ちていた。

その胸に顔を預けると、どくどくと早まる鼓動が耳に届く。

「今日は、特別な日にしたい。」

その声は、低く甘く、心をとろけさせる。

「はい……」と小さく答えた私に、彼は唇を重ねた。

柔らかくて、けれど熱を秘めたキス。

何度も重なって、息がかすれていく。

そして……彼は、私の耳元で囁いた。

「君に触れたい。」

その一言に、胸が跳ねる。

呼吸が浅くなるのを、自分でも止められない。

「……カイル殿下……」

彼の手が、私の背をなぞる。ドレス越しの指先が、やさしくて切ない。

「怖がらせたかな。」

唇を離し、彼が微笑む。

「でも……君が嫌じゃないなら、この想いを君に伝えたい。」
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