「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
私は、そっと首を横に振る。

「嫌では……ありません。私も……殿下に、触れてほしい。」

それは、震えるほどに小さな声だった。

でも、殿下の瞳が柔らかく細められた瞬間、私たちはもう、引き返せないところまで来ていた。

ランプの光の下、唇が再び重なる。

指先が、髪を、頬を、肩をなぞり、私という存在を確かめてくれる。

それは、初めての夜のはじまりだった──

私達は、そうして私の部屋の寝室に入った。

「シンプルで、セレナに合う部屋だね。」

そう言ってカイル殿下は、私の手を引いてベッドへと誘った。

深く吸い込んだ息の中に、微かに緊張が混じる。けれど──

「無理しないから。」

そう言って彼は、そっと唇を重ねてきた。

あたたかくて、優しくて……でも次第に熱を帯びてゆくキス。

「んん……」

身体の奥が震える。カイル殿下の手が、私の背を抱いていた。
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