「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
その朝の空気は、やけに澄んでいた。

けれど私の胸は、昨夜のことでいっぱいだった。

情熱的なキス。

優しい愛撫。

そして──何度も名前を呼ばれて、繰り返された愛の言葉。

「セレナ。」

カイルの穏やかな声が背後から聞こえる。

けれど、振り向けなかった。

顔が熱い。体の奥まで、あの感覚が蘇ってくる。

「……恥ずかしいです。」

かろうじてそう言うと、背後からくすりと笑う声がした。

「ははは。」

次の瞬間、布団越しにカイルが身を寄せて、私の顔を覗き込んでくる。

「いい顔してる。昨夜のセレナも、今のセレナも……どっちも、すごく可愛い。」

その言葉に、ますます顔が真っ赤になった。

「やっぱり俺、君と結婚を決めてよかった。」

そう言って微笑む彼の表情が優しすぎて、私はますます視線を逸らした。

でも、心の奥では思っていた。

──こんな朝が、ずっと続けばいい。と。
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