「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「一緒にいて、この僕が……あんな扱いを受けたのは初めてだった。」

ユリウス様には、いつも羨望の視線が降り注ぐ。

彼はその視線を当然だと思っている。

そして、私のせいでその輝きを損なわれたことが、許せなかったのだろう。

「今さら派手になれと言っても、君には無理だ。」

その言葉は、胸の奥に鋭く突き刺さった。

「おとなしいし、目立たないし、気も利かない。君みたいな地味な子と結婚なんて、無理に決まってるだろ?」

──そこまで、言わなくても。

喉が詰まって、声が出せない。

あれほど仲が良かった日々は、すべて私の勘違いだったのか。

「はい、結婚もなし。正式に婚約は破棄させてもらう。」

そう言い切った彼は、まるで面倒な仕事を一つ片づけたような顔をしていた。

私は何も言えず、ただその場に立ち尽くしていた。

まるで、自分という存在が一瞬で“無価値”にされたようで──
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