「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
次の舞踏会。

本当は、行きたくなんてなかった。

婚約を破棄されたばかりの私が、今さらどんな顔で社交界に立てばいいというのだろう。

けれど、両親は私の気持ちも聞かず、こう言った。

「次の相手を見つけてこい」

それは命令だった。

私の将来のため、家のため──分かってはいる。でも、心はついてこなかった。

気合いを入れて選んだ青いドレス。

地味と言われないように、髪にも少し手をかけた。

けれど、会場に足を踏み入れた瞬間、私はまた“壁”だった。

誰にも声を掛けられない。

誰の視線も私を通り過ぎていく。

──壁の花、とはよく言ったものね。

青いドレスが、まるで本当に壁に飾られた飾りのよう。

華やかな音楽と笑い声の中で、私はまた取り残されていた。

その時だった。

「ユリウス様!」

「キャーッ、今日も素敵……!」

扉の向こうから、彼が現れた。

ユリウス・フェルグレン。
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