「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
やがてカイル殿下はふっと微笑むと、振り返って玄関の扉を開けた。

「それでは、また迎えに参ります。」

優雅に一礼し、静かに扉を閉める――その直後。

「えっ⁉」

私はパチンと音がするほどに目を見開いた。

「な、なんで、そんな風に言うのよ……!」

ぶわっと顔が熱くなるのを感じながら、私は反射的に両手で頬を覆った。これじゃ、まるで――

「……もう、ほんとに……!」

でも、どこか胸の奥がくすぐったくて。あの人らしい、不意打ちの“本気”に、私は心を奪われていた。

玄関の扉の向こう。

その背中を思い浮かべながら、私はそっと小さく呟いた。

「……ずるいんだから、カイル……」

そっとお父様の方に視線を向けた。

驚いたことに、その目元にはうっすらと涙が滲んでいた。

「……お父様?」

絞り出すように声をかけると、お父様は私を見ず、背を向けたまま、低く呟いた。
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