「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
エヴァが僅かに顔を歪める。その時だった。

カイル殿下が、私の手を取り、優雅に腰を折った。

「セレナ。踊ってくれるか?」

「……はい、喜んで」

私はエヴァを横目に見ながら、カイル殿下の手を取った。

その瞬間、周囲の視線が私たちに集まる。

――見せてあげるわ。

私が選ばれた理由を、今この舞踏会で。

そして私は、カイル殿下の腕の中で、軽やかにステップを踏み始めた。

愛されることを知った私の瞳には、もう過去に囚われる影など映っていなかった。

「優雅ね。」

「セレナって決して派手ではないけれど、淑やかさが際立っていいわね。」

「そういう人こそカイル殿下のお相手に相応しいかも。」

会場のあちらこちらから、私に向けられた囁き声が聞こえてくる。

かつては陰で「地味」と笑われた声色が、今は「淑やか」と讃えている。

戸惑いと誇らしさが胸の奥に交差した。
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