「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
元・婚約者。今はもう、私と無関係の人。

それでも──やっぱり彼は、令嬢たちの視線をさらっていく。

きらびやかな人々の中心にいて、堂々と微笑んで。

私はまた、あの夜の感覚を思い出していた。

隣に立てなかった私。

捨てられた私。

ドレスの裾を強く握りしめた手が、小さく震えていた。

そして──

ユリウス様が、ダンスの相手に選んだのは。

「エヴァ・ディナローゼ嬢を、お誘いしても?」

凛とした声が響いた瞬間、空気がざわめいた。

エヴァ・ディナローゼ。

華やかな金髪に、燃えるような真紅のドレス。

伯爵令嬢であり、舞踏会では常に注目の的。

その美しさと気品、そして何より軽やかで優雅なダンスの腕前で、多くの貴族たちの憧れを集めている。

「ぜひ。」

彼女はにっこりと笑いながら、ユリウスの手を取り、堂々とフロアへと歩み出る。
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