「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「そこまでだ、ユリウス」

私たちの間に、颯爽と割って入ったのは――カイル殿下だった。

毅然とした姿勢、王族としての威厳をまといながら。

「カイル殿下……!」

ユリウスが思わずたじろぐ。

「君は、セレナを──この第2皇子カイルの婚約者だと知っていて、口説いているのか?」

鋭い視線で睨むように問いかけるカイルに、周囲の空気が張りつめる。

けれどユリウスも、必死に反論を口にした。

「しかし……彼女は僕との婚約を破棄したそのすぐ後に、カイル殿下と婚約なさった。到底、それが彼女自身の意思とは思えません!」

ざわつく令嬢たち。私の心も少しだけ乱れかけた――が、その時。

カイルは、くつくつと笑いを漏らした。

「……なるほど。つまり君は、彼女のことを“自分の意思で男を選ぶことのできない女”だと、そう言いたいのか?」

「なっ……」

ユリウスの顔がこわばる。

「だったら聞いてみようか。セレナ。君の口から言ってくれ。君は、誰を選ぶ?」
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