「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
あの自信家のカイルが、こんな風に感情を吐露するなんて――

「これから誰かと踊る時は、俺に一言言ってくれ。」

まるで拗ねた子供のような声音に、私はふっと笑ってしまった。

「はい、すみません。……でも、まさかそんな風に思ってくれてたなんて。」

するとカイルは、私のおでこに自分のおでこをそっと合わせてきた。

額同士が触れ合う距離。視線も、息遣いも、全部重なる。

「怒っているんじゃない。君が心配なんだ。」

その言葉が、私の胸に優しく染み込んでいく。

カイルは、私を守ろうとしてくれている。

ただの婚約者としてではなく、ひとりの大切な女性として――

「……ありがとう、カイル。」

私はそっと彼の腕を抱き返した。

「あなたがいてくれて、よかった」

そう呟くと、カイルは私の頬にキスをしてくれた。

「俺も。君がいてくれて、本当によかった。」
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