「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
その姿はまるで舞台の上の主人公。

二人がステップを踏み出すと、自然と周囲の令嬢たちの視線が集まり、うっとりとしたため息が漏れた。

「素敵ね……」

「お似合いの二人だわ……」

そんな声が、次々と耳に入ってくる。

本当は、ああ言われたかった。

私がユリウス様と踊っていたなら、そう囁かれたかった。

「お似合い」と、誰かに言ってほしかった。

──どうして、私は、選ばれなかったのだろう。

握りしめた手が冷たくなっていく。

目の奥がじんと熱くなっても、泣くことだけはしたくなかった。

今ここで涙をこぼしたら、ますます“地味で惨めな令嬢”になるだけ。

私は唇をかみしめながら、ただ黙って、遠くのフロアを見つめ続けた。

でも、こんな顔をしていたら──

ますます誰からも声なんて掛けられない。

地味で、華やかさもなくて、笑顔もない。

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