「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
勉強がひと段落すると、カイルはそっと本を閉じた。

「よく頑張ったね。少し、休もうか。」

そう言ってカップに注いでくれたのは、レモンの香りがふわりと広がる紅茶だった。

その甘酸っぱさが、どこか今の私たちの関係に似ている気がした。

「セレナは何か、趣味でもあるの?」

カイルの問いに、私は少しだけ躊躇ってから、頬を染めて答えた。

「……実は、刺繍が好きなんです。」

「へえ。」カイルは少し目を見張った。「聞いてみるもんだね。」

「よければ、お見せします。」

私は立ち上がり、本棚の一角から小箱を取り出す。

そこには、今取り組んでいる刺繍の布が大切にしまわれていた。

「今は『湖畔の花』という図案を刺しているんです。」

広げて見せると、まだ途中ではあるけれど、水辺に揺れる草花の一部が、細やかな糸で描かれていた。
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