「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「すごい……絵画みたいだね。繊細で、綺麗だ。」

「ありがとうございます。でも、これ、影のグラデーションを出すのが大変で……」

そう語る私の横顔を、カイルはじっと見つめていた。

「好きなものを語る時のセレナの顔、俺、すごく好き。」

「えっ……」

「もっと聞かせて。君が夢中になっていること。そういうの、全部知っていたいんだ。」

胸が、ふわっと温かくなる。

私は、彼の横顔をそっと見つめ返した。

――カイルは、本当に私を見てくれている。

そう、少しずつ思えるようになっていた。

書斎で過ごした午後が終わり、カイルは玄関に向かっていた。

いつものように優しく微笑む彼の背中を、私は迷いながらも呼び止めた。

「ねえ、カイル。」

カイルが振り返る。私の瞳を見て、真剣なものを感じ取ったのか、少しだけ顔つきが変わる。

「あなたは、なぜ私を選んだの?」

ほんの少し、沈黙が流れた。私は自分の問いに、緊張と不安が入り混じった気持ちで息を呑む。
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