「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
カイルはゆっくりと歩み寄り、そっと私の頬に手を添えた。

「……俺はね、小さい頃。この屋敷に、よく取り込まれてたんだ。」

懐かしそうな、でもどこか切なさの混じる声音だった。

「大きな木があって、白い花が咲いていた。テラスでは、甘酸っぱいレモンティーの香りがしてて。」

私ははっとする。あの頃、私と父が出したお茶のことまで覚えているなんて。

「そして、君がいた。」

カイルの瞳が真っ直ぐに私を見ていた。

「少しだけ背伸びして、淹れた紅茶が熱くて飲めなくて、でも一生懸命、お姫様みたいに振る舞ってた君。」

恥ずかしさと、込み上げる感情に喉が詰まりそうになる。

「……それが理由?」

「理由なんて、ない。」

カイルは首を振る。

「君が貴族の娘だからでも、ユリウスの元婚約者だからでもない。君が君だったからだ。」

そして、私の髪を撫でながら、こう続けた。
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