「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
カイルはすぐに立ち上がり、腰の剣を抜き取った。そして胸に当て、跪く。

「聖女に、命をかけて仕えることを、ここに誓います。」

ざわめきが広がる。皇子が聖女の護衛に任じられる――

それは伝統的に、“次代の王たる者”が聖女と共に国を守るという、象徴的な意味を持つ任命だった。

(……なぜカイル殿下が?)

私はそっと視線を落とす。

護衛役に任命された者は、聖女の任務に同行する。

つまり、しばらくの間、彼と私は別々の時間を過ごすことになるということ。

(それに……聖女の傍で……ずっと?)

つい先ほどまでティアナと並び立っていたカイル殿下の姿が、鮮やかに思い出された。

麗しく、神聖な雰囲気をまとった彼女。並ぶ二人は、まるで絵画のように美しかった。

(私の立ち位置は……)

式の余韻が残る中、胸の奥に冷たい影が落ちた。
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