「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
胸の奥が少しずつ冷たくなっていく。

カイルの隣にいられる時間が嬉しいはずなのに、その言葉の裏にある“義務”や“神託”という重みが、私の存在を小さく感じさせた。

「セレナ。」

カイルが私の手を取る。

「君を置いて遠くへ行くつもりはない。だから、不安にならないで。」

(そう……信じていいの?)

私は微笑みを返すことしかできなかった。

でも、私は知っている。

お妃教育の合間。宮殿内を案内されていた時、たまたま通りかかった中庭で、私は見てしまった。

──カイルが、聖女ティアナと楽しそうに話しているところを。

柔らかく微笑むティアナ。カイルはそんな彼女の言葉に、思わず笑ってしまったのか、顔をほころばせていた。

その光景が胸に刺さった。

(聖女は、時に王と結ばれることがある──)

古い言い伝えだと、そう聞いたことがある。

ましてティアナは、貴族の中でも格式ある伯爵家の令嬢。その可能性は決して低くない。
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