「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
私は、ひとりで立ちすくんでしまった。

その時、ティアナが私に気づいた。

それに気づいたカイルも、私の方へ顔を向けた。

「セレナ。」

ゆっくりと私の元へ歩み寄ってくる。そしてそっと、私の背中に手を添えた。

「紹介しよう。俺の婚約者のセレナだ。」

「まあ!」ティアナが声を上げる。

「あの時の舞踏会の……。お噂はかねがね伺っています。本当にお似合いです。」

「ありがとう。」私は笑顔を作って答えたけれど。

(本当に、そう思われているのかしら)

カイルの“婚約者”という紹介の言葉は、確かに嬉しかった。

でも、二人の楽しそうな雰囲気が、頭の中から離れない。

彼女の笑顔。カイルの目元のやわらかさ。

どちらも、私が見たことのあるものだった。

──小さく、胸が痛んだ。

そして、このまるで神話から抜け出してきたような青い瞳。

──ティアナ・エルフェリア。

その瞳が、私をまっすぐに見つめた気がした。
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