夢がよかった!~ヤミ系アイドルの彼らは本物のヤンデレでした~
一週間後。
さあやってきましたよ地獄のテスト期間がな!
あれからすべての端末を封じられ、スマホの時間もたった1時間半に短縮。
というわけでほぼ降参状態で死に物狂いで勉強した私。
しかし、数学の奴、その努力をあざ笑うかのようにさらなる難問で叩き潰してきました。
大問5の売り上げの問題。
わかるわけがないんだよな~。
「あっ、月詠さん。」
「八代さん?」
彼はクラスメートの八代水輝。彼の髪や瞳の色は晴れわたった真夏の青空の色。
そしてそれを象徴するように彼自身の性格も雰囲気も、心地よく吹き渡る夏風のように爽やかでカラッとした明るい雰囲気。
そんな感じだからクラスどころか、学年でも噂しない女子はいないほどの人気者。
私は、振り向かないけれど……それは自分の立場をわきまえているから。
私みたいな夢女子なんて嘘だったとしても話題にすら出てきちゃいけない存在なんだから。
なんで話しかけてきたんだろう。
「今日のテスト難しかったよね~!」
「はい、そうですね……」
「僕本当に数学苦手でさぁ~!特に大問5!」
「そっ、それ私もです!私も、解けませんでした……!」
クラスで人気の八代さんにも、悩みがあるんだ。しかも同じところ。
他の女子の目が怖いから言わないでおくけど。
「……ねぇ、月詠さん。」
「はっ、はい、なんでしょう……!?」
ふと、彼の青空を切り抜いたような瞳が、こちらをじっと見つめてくる。
「なんで?」
「へ?」
何か気づかないうちに彼の気に障るようなことをしてしまったのだろうか。
いくらなんとも思っていないとはいえ、さすがにクラスの人気者に嫌われるという事態は避けたい。
「どういう意味ですか……?何かしちゃいましたか……?」
何かしたなら、謝らなきゃ……
「……そういうところ。」
彼がため息をついた。
「なんでクラスメートなのに敬語なの?」
「……それは……」
「……私なんかが、クラスの人気者の八代さんと話してていいのかなって……」
「……どうして?僕が話しかけたんだから、僕と話してても全然いいんだよ?」
コテンと首をかしげる彼。
そういうところが、かわいいって人気なんだよ。
「八代さんは、人気だから……私なんかが近づいちゃダメだって……」
今でも忘れられない。
中学時代にファンクラブができていたくらい人気だった男子と、本当に偶然で隣の席になった時。
名前すら、トラウマのきっかけだから、忘れてしまったけど。
当時のクラスの権力者、いわゆる一軍女子に言われた言葉。
「信じられないんだけど!アンタあたしに喧嘩売ってんの!?なんであたしじゃなくてアンタみたいな地味でブスな女が、あの人と隣になれるわけ!?」
その場での罵倒はもちろん、それからというもの、毎日嫌がらせを受け続けた。
クラス一、いや、学年一の人気者に何も考えずに近づいて、気軽に話した罰だと言われた。
今思えば推し活や夢小説にハマったのもあのあたりだったな。
画面越しの推しや、自分で作った小説のキャラは裏切らないから。
「……月詠さん?月詠さん!大丈夫?」
「っ!」
あれ?気づいたら、視界がにじんでた。
「あっ、ごめんなさ……」
気付いたら、彼の空色のセーターで、私の視界は覆われていた。
「大丈夫。大丈夫だよ。今まで、よく頑張ったよね。」
セーターのふわふわとした感触と、優しい声が、私の頭を触る。
私、抱きしめられてる……!?
クラスメートの男子の前で勝手に泣いてまるで八代さんに泣かされたみたいになった挙句、抱きしめられて、慰められてる……
「っ、ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」
クラスの人気者の手をわずらわせてしまった罪悪感と、慰められた安心感で涙が止まらない。
「もう謝らなくていいんだよ。月詠さんは何も悪くないんだから。」
「でっ、でも……こんなところ見られたら、八代さんが……!」
「じゃあこうしよう。」
「僕は今から夢って呼ぶから、僕のことも水輝って呼んで!もちろん敬語禁止だから!」
驚きのあまり、涙が止まった。
さあやってきましたよ地獄のテスト期間がな!
あれからすべての端末を封じられ、スマホの時間もたった1時間半に短縮。
というわけでほぼ降参状態で死に物狂いで勉強した私。
しかし、数学の奴、その努力をあざ笑うかのようにさらなる難問で叩き潰してきました。
大問5の売り上げの問題。
わかるわけがないんだよな~。
「あっ、月詠さん。」
「八代さん?」
彼はクラスメートの八代水輝。彼の髪や瞳の色は晴れわたった真夏の青空の色。
そしてそれを象徴するように彼自身の性格も雰囲気も、心地よく吹き渡る夏風のように爽やかでカラッとした明るい雰囲気。
そんな感じだからクラスどころか、学年でも噂しない女子はいないほどの人気者。
私は、振り向かないけれど……それは自分の立場をわきまえているから。
私みたいな夢女子なんて嘘だったとしても話題にすら出てきちゃいけない存在なんだから。
なんで話しかけてきたんだろう。
「今日のテスト難しかったよね~!」
「はい、そうですね……」
「僕本当に数学苦手でさぁ~!特に大問5!」
「そっ、それ私もです!私も、解けませんでした……!」
クラスで人気の八代さんにも、悩みがあるんだ。しかも同じところ。
他の女子の目が怖いから言わないでおくけど。
「……ねぇ、月詠さん。」
「はっ、はい、なんでしょう……!?」
ふと、彼の青空を切り抜いたような瞳が、こちらをじっと見つめてくる。
「なんで?」
「へ?」
何か気づかないうちに彼の気に障るようなことをしてしまったのだろうか。
いくらなんとも思っていないとはいえ、さすがにクラスの人気者に嫌われるという事態は避けたい。
「どういう意味ですか……?何かしちゃいましたか……?」
何かしたなら、謝らなきゃ……
「……そういうところ。」
彼がため息をついた。
「なんでクラスメートなのに敬語なの?」
「……それは……」
「……私なんかが、クラスの人気者の八代さんと話してていいのかなって……」
「……どうして?僕が話しかけたんだから、僕と話してても全然いいんだよ?」
コテンと首をかしげる彼。
そういうところが、かわいいって人気なんだよ。
「八代さんは、人気だから……私なんかが近づいちゃダメだって……」
今でも忘れられない。
中学時代にファンクラブができていたくらい人気だった男子と、本当に偶然で隣の席になった時。
名前すら、トラウマのきっかけだから、忘れてしまったけど。
当時のクラスの権力者、いわゆる一軍女子に言われた言葉。
「信じられないんだけど!アンタあたしに喧嘩売ってんの!?なんであたしじゃなくてアンタみたいな地味でブスな女が、あの人と隣になれるわけ!?」
その場での罵倒はもちろん、それからというもの、毎日嫌がらせを受け続けた。
クラス一、いや、学年一の人気者に何も考えずに近づいて、気軽に話した罰だと言われた。
今思えば推し活や夢小説にハマったのもあのあたりだったな。
画面越しの推しや、自分で作った小説のキャラは裏切らないから。
「……月詠さん?月詠さん!大丈夫?」
「っ!」
あれ?気づいたら、視界がにじんでた。
「あっ、ごめんなさ……」
気付いたら、彼の空色のセーターで、私の視界は覆われていた。
「大丈夫。大丈夫だよ。今まで、よく頑張ったよね。」
セーターのふわふわとした感触と、優しい声が、私の頭を触る。
私、抱きしめられてる……!?
クラスメートの男子の前で勝手に泣いてまるで八代さんに泣かされたみたいになった挙句、抱きしめられて、慰められてる……
「っ、ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」
クラスの人気者の手をわずらわせてしまった罪悪感と、慰められた安心感で涙が止まらない。
「もう謝らなくていいんだよ。月詠さんは何も悪くないんだから。」
「でっ、でも……こんなところ見られたら、八代さんが……!」
「じゃあこうしよう。」
「僕は今から夢って呼ぶから、僕のことも水輝って呼んで!もちろん敬語禁止だから!」
驚きのあまり、涙が止まった。