√スターダストtoらぶ
ーーブーブーブーブー…。


「あーごめん。俺のだ」


彼がスマホをタップし、耳に当てる。

何気ない一幕なのにまるで魔法にかかったかのように目が離せない。

心臓がドクンドクン言ってる。

良くないことだって分かってる。

でも抑えられない。

なんで?

どうして?


「残念ながらタイムリットだ。俺これからバイトあるからここでさよなら。俺の代わりに信用できる人呼んだからその人と…ってもう来てる」


遠くから迷うことなく駆け寄ってくる。

それもそのはず。

だってこの人は…宝石だから。

キラキラした道標のよう。


「んじゃあね」


そう彼が言ってわたしに背中を向けた瞬間、

ドーンと色鮮やかな花火が打ち上がった。


「わぁ、きれい…」


思わず声を上げると彼はふっと笑った。


「花火見られて良かったね。汚されなくて…良かった」


近づく足音。

もうさよなら、なんだ。

だったら、ちゃんと

伝えなきゃ。

たった一度きりでも

いや、実際には二度目なのだけれど、

わたしを見つけて

救ってくれたのだから。

わたしは花火ではなく彼を見つめた。

そして、言った。


「その…ありがとうございました。あなたのお陰でわたし今笑ってられます」


また、って願ってもいいのかな?

たとえ良くなくても思いたい。

今はまだこの熱を忘れたくない。


「どーいたしまして。んじゃあ、また」

「あっ…」


彼の背中がみるみる小さくなる。

でも、

でも…!

言ってくれた。

また、って。

聞こえた。

だから、まだ

まだこの視界から追い出したくない。

匂いじゃなく香りがした。

まだ心に残ってる。

この耳で確かに聴いた言葉が何度も脳裏で反芻する。

画面の向こうの騎士が言っていてもキャーキャー騒ぐけど、

でもそれ以上に今胸が鳴っている。

心臓がうるさい。

これが本当の…

キュン、かもしれない。


「はぁはぁはぁ…ったく人使い荒いなぁしゅーまは」


そうだ。

そうだった。

あの人の名前は…


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