√スターダストtoらぶ
彼女を無事に送り届け、車内に尚悟と二人きりになるや否や揶揄われた。


「もしかして、相当嫌われてるのにお前が大好きなパターンか?」

「…そう、かも」

「なんだよ、照れてんのか、このやろー!スカしてるくせにウブなんだよなぁ、愁真は。本当の本当は純粋」

「やめろ。きしょい」

「んなこというなよー。オレとお前の仲だろ?」

「どんな仲だよ。言っとくけど俺はそんなんじゃないから。尚悟はそういうところが残念なんだよ。だからカノジョいない歴イコール年齢の可哀想な…」

「それ以上言うと降ろすぞ!」

「はは。とか言って弟みたいな俺が可愛くて降ろせないくせに」

「おい!愁真っ!」


なんて他愛もない話をしていたら、早々にいつもの如く灯りのない部屋が見えて来た。


「お帰りって言ってもらいたいだけなんだよな…」


独り言のように尚悟が呟く。

俺は窓の外を見る。

聞こえていないフリをする。


「愁真の愛はひん曲がってるようで真っ直ぐだからさ、きっと届くよ。おれはお前のこと信じてるから」


尚悟はいっつも俺にあったかい言葉をくれる。

本当の兄みたいに

俺がピンチの時は助けてくれて

俺が迷わないように先を歩いてくれて

それでも迷ったら見つけてくれて

手を引いてくれて。

そんな尚悟がいたから今の俺があるんだよな。

…ほんと、バカだな。

俺、ちゃんと、生きてたんだよ。

生きてるって実感させてくれる、

俺を信じてくれる人がいたんだよ。

そして、その人はこれからも俺のことを信じてくれる。

だったら俺は

今日よりも明日

明日より明後日

少しずつでいい。

少しずつ少しずつ

前を向いて歩けるようになろう。

忘れていた大事なものを落とさないように。

そして、

見つけた大切なものを

拾って抱えて生きていけるように。

…大丈夫、だよな?

もう仮面なんて被らなくても、

俺自身はここにいて、

これが俺なのだから。


車が止まる。

安い軽の中古車。

男二人には狭い。

けど、声は届きやすい。


「あのさ、俺…少しずつ頑張ってみる。今までのことゼロに出来なくても後ろ指刺されるようなことしてても俺の人生だから俺に責任持って生きる」

「そっか。…分かった。応援してる。誰よりも近くで」


尚悟が背中をドンと叩いてくれた。

それが合図だった。

俺は始めることにした。

最初で最後の

本気の恋愛を。




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