√スターダストtoらぶ
「あ、そうだ。朝雪くん、一昨日はありがとう。教えてもらったお陰で明日の夏休み明けテストうまくいきそうだよ」

「それなら良かった。テスト僕も頑張らなきゃ」


わたしの心に虹をかけてくれた出来事があった。

それは、朝雪くんとの約束。

夏休みの終わりに2人で勉強をすること。

朝雪くんは小学校の先生を目指しているだけあって頭がいいだけじゃなくて教え方もうまくて、なんなら声優さんかってくらい声も爽やかで耳福だった。

図書館でひっそりと勉強しただけなのに、問題を解き終わった時すごく充実感があったんだよね。

また…って普通に次を望んでしまうくらい、

わたしは朝雪くんを信用してるし、

…想っている、のかもしれない。


「あの、さ。テスト終わったらお疲れ様会しない?」

「うん、いいよ」

「ふ、二人で…だけど、いい?」


思い切って提案してくれたんだなって分かる。

なんとなくだけど、分かる。

朝雪くんのことは信じてもいい。

今までの人とは違う。

わたしは大きく首を縦に振った。


「じゃあ、この前愛舞ちゃんが言ってたスイーツ食べに行こう!」

「えっ…?」

「どうかした…?て、僕、あ、あぁ…!」


不意打ちってこういうこと、か。

うわ…

あぁ、

な、何?

この感じ、何?

うわわ、熱い熱い…!

乙女ゲームやっててたまに来る超絶声良しセリフ良しの地獄がひっくり返って天国になるような甘々展開の導入かってくらい熱い…。

ど、どど、どうしよう。


「ご、ごめんなさいっ!な、名前…ら、らら…」


朝雪くんの呂律が回っていない。

予期せぬバグなどゲームにはつきものだけど、現実でこれをどうしろって言うの?

はぁはぁ、落ち着け、わたし。

数々の激甘展開を乗り越えてきたであろう“イケナイ”歴5年のわたしがこんなことで混乱してどうする?

さあ、次の一手を打たねば。


「あっ、あのねっ!」


変に声が裏返る。

すれ違う生徒たちに、何をやっているのだあのモブ女はという目で見られる。

でも、構ってはいられない。

わたしが応えてあげないといけない。

事故でも何でも

発してしまった言葉は取り戻せないから。

その言葉に嘘はないと信じて

わたしが返してあげなきゃ、だから。

わたしは火照る頬に手をやりながら答えた。


「愛舞ちゃん…て呼んで。朝雪くんには呼ばれてもいいよ。…ううん、わたしがそう呼ばれたいんだよ」


真っ赤になりながらも朝雪くんはうんうんと首を激しく振った。

朝雪くんが勇気を出して踏み出してくれたから、

わたしも勇気を出して答えるよ。

信じるよ。

少しずつでいい。

この尊い関係を壊さないように

少しずつ進んでいこう。

今はまだ“友達”のまま、

一歩ずつ。

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