私の隣にいるのが俺じゃない理由を言え、と彼は言う
昼過ぎ。
資料を届けに営業フロアを通ったとき、ふと視線の先に見えた。

野田と、奈々未。

なにか話していて、二人とも笑っている。
奈々未が小さく肩をすくめて、野田がそれに笑って頷いていた。

あれ……?
合コンって、普通の飲み会だったって、言ってたよね?

別に、仕事の話かもしれない。
たまたま話が盛り上がっていただけかもしれない。

……でも、なんでだろう。
胸の奥が、少しチクリとした。

「あ、風花」

奈々未がこちらに気づいて、手を振ってくる。
自然に笑い返したけど、顔がひきつっていないか心配になる。

「野田くん、すごく盛り上げてくれてさ~。ほんとありがと!」

「いや、俺は普通に飲んでただけだよ」

野田が肩をすくめて笑う。その“普通”が、なんだか今日は遠く感じた。

私はとっさに、「うん、楽しそうでよかったね」とだけ返して、足早にフロアをあとにした。

……あれが“普通”なら、私はどこに立っていたらいいの?
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