私の隣にいるのが俺じゃない理由を言え、と彼は言う
「野田、ここ職場だよ」

私はくすっと笑った。
野田の顔が真っ赤になっていることに気づいていた。
それがなんだか、可愛くて。

「……わかってる」

野田は小さく、けれどしっかりと言った。
視線は逸らさず、まっすぐに私を見つめたまま。

「今日の夜、開けといて」

「……うん」

その返事だけで、心が高鳴る。
あの夜の続き、今度こそ——
ちゃんと、進める気がしていた。
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