私の隣にいるのが俺じゃない理由を言え、と彼は言う
「俺じゃない理由を言え」
野田の低くてまっすぐな声に、胸がきゅっとなった。
そんなの……
私は言葉をつまらせた。けれど、もう隠せなかった。
「……無理だよ」
小さく、でもはっきり言った。
「私、あのとき——実家に連れていかれた時点で、もう落ちてたよ……」
視線を上げると、野田の目が驚いたように見開かれていた。
「おばあちゃんもお母さんも優しくて、なんか……そこに“野田の一部”があるのが嬉しくて。
一緒にスイカ採って、川ではしゃいで、滑って、着替え借りて……」
そこで一瞬、唇を噛む。
「洗濯機の音、ほんとに……じゃまだったもん」
顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかる。
けれど、今さら引けなかった。
「ずっと、触れてくれたらいいのにって思ってた。
怖いはずなのに……全然、嫌じゃなかった。
……むしろ、止まらないでって、思ってた」
言いながら、涙が出てきそうになる。
情けないくらい、好きだった。
「野田じゃなきゃ、だめなの。
……もう、他の誰かに期待するふり、したくない」
野田は、ただ、強くまっすぐに私を見つめていた。
そして、ぽつりと口を開く。
「……ありがとう」
私が一瞬きょとんとすると、野田はふっと息を吐いて、少しだけ照れたように言った。
「どういたしまして。……って、言わせるなっ!」
その顔が、照れくさそうで、でもどこか嬉しそうで。
私は胸がいっぱいになって、思わず笑ってしまった。
次の瞬間、腕が伸びてきて、私は彼の胸の中に包まれた。
心臓の音が重なっていく。
このぬくもりが、ずっと欲しかった。
野田の低くてまっすぐな声に、胸がきゅっとなった。
そんなの……
私は言葉をつまらせた。けれど、もう隠せなかった。
「……無理だよ」
小さく、でもはっきり言った。
「私、あのとき——実家に連れていかれた時点で、もう落ちてたよ……」
視線を上げると、野田の目が驚いたように見開かれていた。
「おばあちゃんもお母さんも優しくて、なんか……そこに“野田の一部”があるのが嬉しくて。
一緒にスイカ採って、川ではしゃいで、滑って、着替え借りて……」
そこで一瞬、唇を噛む。
「洗濯機の音、ほんとに……じゃまだったもん」
顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかる。
けれど、今さら引けなかった。
「ずっと、触れてくれたらいいのにって思ってた。
怖いはずなのに……全然、嫌じゃなかった。
……むしろ、止まらないでって、思ってた」
言いながら、涙が出てきそうになる。
情けないくらい、好きだった。
「野田じゃなきゃ、だめなの。
……もう、他の誰かに期待するふり、したくない」
野田は、ただ、強くまっすぐに私を見つめていた。
そして、ぽつりと口を開く。
「……ありがとう」
私が一瞬きょとんとすると、野田はふっと息を吐いて、少しだけ照れたように言った。
「どういたしまして。……って、言わせるなっ!」
その顔が、照れくさそうで、でもどこか嬉しそうで。
私は胸がいっぱいになって、思わず笑ってしまった。
次の瞬間、腕が伸びてきて、私は彼の胸の中に包まれた。
心臓の音が重なっていく。
このぬくもりが、ずっと欲しかった。