甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


それから、唯斗くんも千紘くんに続いて、こちらの方に走ってきて。


「ちょっと待って、神崎くんもじゃない!?」

「え……?」

「ゆあモテモテじゃんっ!」

「いやいや、そんなわけ……」


完全に興奮しきっている羽衣。

千紘くんは、私のもとに来るわけない、って分かっているはずなのに。
来てほしい、って思ってる。


「ゆあ……っ!」


千紘くんと、唯斗くんが、同時に私の名前を呼んだ。

……えっ。
わた、し?


「きゃああっ、やっぱり!!」


千紘くんが先に、私の手をつかんだ。


「残念だったな、神崎」


そう言うと、千紘くんは唯斗くんに向かって軽く舌を出した。

唯斗くんの表情は、悔しさに染まっていく。


「……っくそ」

「行くぞ、ゆあ」

「え……っ」


とくとく、と心臓が音を立てる。

握られた右手が熱い。


二人で風を切って走るのは、ただ心地が良かった。


「きゃあああっ」


悲鳴にも似た、女の子たちの声が聞こえてくる。


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