甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
すると、すぐに「はーい」という声が聞こえてきた。
「えっと、隣に引っ越してきた椎葉と言います。
引っ越しのあいさつに来ました。遅くなってしまいすみません」
「あー。今開けます」
気だるげな男の人の声。
すぐに、ガチャと玄関のドアが開けられた。
「……え?」
と、そこにいたのは。
……え、嘘でしょ。
こんな偶然ってある?
──まさかの、あの彼だった。
「ん?どうかした?」
「あっ、いや、なんでも……っ」
固まっている私に、きょとんとした顔をする彼。
私、これから彼のお隣さんとして暮らすの?
待って、それだいぶハードル高いんじゃ……!!
……と、とりあえず、これを渡さなきゃ……。
私は、手土産を彼に差しだした。
「あの、これ一応手土産です。
つまらないものなんですけど……」
「ん?ああ、ありがと」
そう言って、私からそれを受け取った彼は、紙袋の中身を見て。
「お、チョコクッキーじゃん。俺好きなんだよね」
「えっ、なんでチョコクッキーって……」