甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


「は?ここに英語でチョコレートクッキーって書いてあるじゃん」


……えっ。

紙袋からクッキーの箱を取り出した彼は、私に指をさして見せる。

確かに、そこには「CHOCOLATE COOKIE」と書かれていて。


「あっ、本当だ……」

「本当だって、バカなの?」

「は……?」


さっきから思ってたんだけどさ。
なんかとげとげしくない……!?


え、もしかして人違い?

こんな雰囲気の人じゃなかったよね。
なんかこう……、もっと柔らかくて、爽やかな人だったはず。

一人称も「俺」じゃなくて「僕」だった。


……んん?


「あ、あの……」

「ん?」

「今朝ハンカチを拾ってくれた人、ですよね……?」


……勇気をだして、そう尋ねてみたものの。


本当に身に覚えがないとでもいうように、こてん、と首をかしげる彼。

……え、ちょ、嘘でしょ。


「……そんなことあったっけ?
ごめん、覚えてないや」


と、あっけらかんと言ってのけた。


< 14 / 150 >

この作品をシェア

pagetop