甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
「は?ここに英語でチョコレートクッキーって書いてあるじゃん」
……えっ。
紙袋からクッキーの箱を取り出した彼は、私に指をさして見せる。
確かに、そこには「CHOCOLATE COOKIE」と書かれていて。
「あっ、本当だ……」
「本当だって、バカなの?」
「は……?」
さっきから思ってたんだけどさ。
なんかとげとげしくない……!?
え、もしかして人違い?
こんな雰囲気の人じゃなかったよね。
なんかこう……、もっと柔らかくて、爽やかな人だったはず。
一人称も「俺」じゃなくて「僕」だった。
……んん?
「あ、あの……」
「ん?」
「今朝ハンカチを拾ってくれた人、ですよね……?」
……勇気をだして、そう尋ねてみたものの。
本当に身に覚えがないとでもいうように、こてん、と首をかしげる彼。
……え、ちょ、嘘でしょ。
「……そんなことあったっけ?
ごめん、覚えてないや」
と、あっけらかんと言ってのけた。