甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


ううん、〝ような〟じゃない。抱きしめられてるんだ。

……な、なんで?


「ごめん、ゆあ」

「……思い出した……?」


千紘くんが相槌を打った気がした。


「看病してくれて、ありがと、ゆあ」


さっきまで私を支配していたいらだちが、ゆっくりとほどけていくような、そんな感じがした。


ずるい、ずるいよ、千紘くん。

さっきとは打って変わって、ありがとうとか言っちゃって。
このタイミングで思い出しちゃって。

甘いことばっかしたのも、ぜんぶ。


「……反則だよ、ばか」


私の口から出てきたのは、そんなかわいくない言葉だったけど。


「……っ、やっぱ、ゆあにはかなわねえ」


千紘くんのちょっとだけ、余裕がなさそうな声が聞けたから、

それでいいや。



***



「ゆあ?」


校門のそばで、後ろから私を呼ぶ声がして、ふと振り返る。


「あっ、唯斗くん!」


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