甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


きょとんとした顔をして私を見る千紘くんに、思わずイラッととしてしまう。

……忘れてる。
じゃあ、全部、熱にうなされて、勢いのままの行動だったってこと?

……何それ。


「忘れたもなにも……。教えてよ、ゆあ」

「…っ、やだっ、自分で思い出して……!」


千紘くんが本当に不思議そうにするから、ますますいらだちが増していく。

感情的になったまま、私はその場から立ち上がって。


「……私、帰る」

「……ゆあ?」

「じゃあね、千紘くん」

「なんでそんなに怒ってんの?」


ドアノブをつかもうとした寸前、そんな千紘くんの声が聞こえて、思わず立ち止まる。

……確かに。
なんで私、こんなに怒ってるんだろう。


「……分かんない」


私がそうつぶやいたのと同時くらいに、「……あ」と小さな声が聞こえてきて。

かと思えば、後ろから抱きしめられたような感覚が走った。


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