甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
おはよう、なんて、今日の朝も、私が起こしに行ったときに言ったよね?
なのに、なんで……。
「えっと、おはよう……?」
「……ん」
千紘くんは小さくうなずいて、私に見せる自然体の笑顔を向けた。
でも、すぐに、千紘くんはどこかへ歩いて行ってしまった。
……なに、なんだったの、今の。
「調子のるなよ」
「……っ!」
え……?
その場に立ちつくしていると、突然耳元でそんな低い声が聞こえて。
反射的に顔をあげると、見たことがある、綺麗な女の子が私をにらんでいた。
こ、この子、千紘くんのファンの子。
一番千紘くんを狙ってる、ファンクラブの中でも、リーダー的な。
名前は、たしか……。
吉村実咲さん。
「瀬良くんはみんなのものだけどー。
彼女になるのは、絶対私だよ?」
意味深に笑った吉村さんはそう言うと、千紘くんのところへ戻っていった。
ど、どうしよう……。
これ、絶対やばいやつだよね……?
その次の日。
『今日の放課後、屋上に来ること』
と書かれた紙切れが、下駄箱の中に入っていた。