甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
まだ腑に落ちなさそうな羽衣の姿。
んー、やっぱり見破られちゃってるなあ……。
そのとき、羽衣が「あっ」と声をあげて。
「ごめん、ゆあ。
私、今湊のことまたせてるんだった!」
「ううん、加納くんのとこ行ってあげなよ」
「……うん!
本当に、なにかあったら言ってよね!」
「もちろん」
またね、と名残惜しそうな顔をして、羽衣は教室を出て行った。
……嘘ついちゃってごめんね。
と、見えなくなった背中に向かってつぶやく。
行かなきゃなあ、と椅子から立ち上がって、重い足をはこんだ。
なにが起こるんだろう……。
正直、不安でしかないや……。
大きい心臓の音を聞きながら、あっという間に屋上についてしまって。
「あっ、来た来た~」
「ほんとだー」
「遅いよう、椎葉さん」
屋上の前の踊り場に立っていたのは、吉村さんを含めた、三人の女の子。
みんな、知ってる。千紘くんのファンの子たちだ。