甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


走るのは得意だから、肺活量もあるはずなんだけど……。


……なんて、のんきなこと考えている暇などなかったのに。


「『私が起こさないと起きない』……?」

「──っ!」


目をぱちくりさせている吉村さんに、思わず自分の口を両手でふさぐ。


う、うそっ。
私、勢いに任せて、全部……!


「どういうこと?
あんたと瀬良くん、一緒に住んでんの?」


……どうしよう。

隣に住んでること絶対に言わないって、千紘くんと約束してたのに。


「一緒に、住んではない……」

「住んで “は” ない?」

「……」


な、なんにも言えない……。
だって、なにか言ったら絶対バレる!!

ここは、無言で突き通すしか……っ。


「……ふざけんなっ」


えっ……?

響いたのは、吉村さんの声で間違いないんだけど、さっきまでの怖い声じゃなくて。

悔しくて、どこか弱くて、絞り出しているような。


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