甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
甘すぎです、千紘くん
《 千紘side 》
「瀬良くーんっ、一緒に帰ろうよー」
「ははっ、ごめんね、俺ちょっと行かなきゃいけないところがあって」
「えー、いっつもそればっかりじゃん」
「ちょっとね。また今度、機会があったら一緒に」
申し訳ない顔をつくって、俺に話しかけてくる女子に手を合わせた。
そうすれば、納得のいかない顔はされるけど、たいていは引き下がってくれる。
「……分かった、約束だよ?」
また今度、なんて口実で、絶対にないと思う。
俺はははっ、と苦笑いを浮かべたあと、そそくさとひとけの少ないところに向かった。
ひとけの少ないところとは、旧校舎に向かう道。
旧校舎には入れないけれど、そのそばの空き教室で放課後は一休みする。
そして、ちょうど下校する人が少なくなったときに帰るのだ。
じゃないと、女子に絡まれて面倒くさい。
もともと人とベタベタするのが好きじゃない俺にとって、それはなるべく避けたいところだ。